イメコンで「断・捨・離」【3】

イメコンで「断・捨・離」【2】のつづきです。

大量に出てきた不要な服や小物……「自分で買った不要物」
ならともかく、お母さまから譲り受けた物となると、
そうそうあっさりと「断(た)って捨てて離す」ことが
難しいものです。

そこで、依頼主に一つご提案しました。

「処分する前に写真にとって画像に残しましょう」

データとして残せば、またいつでも見ることができます。
また、思い出は残るので「あっさり捨てた」と思わずに済みますね。

とにかく遺品で大事なのは「思い出」として残すことですから、
一度に全てを処理するのは難しいでしょうが、少しずつ少しずつ、
心に整理をつけていって、減らしていけば良いと思います。

ところで――

依頼主が、多くのアイテムを簡単に処分できなかった理由が、
「遺品であること」以外にもあることを、お話している時に
気づきました。それは、
「まだ使えるから……新しいから……着られるからもったいない」
という考えが頭について、処分できなくなるということです。

そこは、

「着るのか、着ないのか」
「使うのか、使わないのか」

で判断する必要があります。

人の体って、一つしかありませんね。
毎日服を変えても、一週間で7組しか使えません。
季節ごとに変えても、7組×4=28組。
TPOで幅広くアイテムをそろえても、28組×2=56組
大目に考えてもこのくらいです。

そこから必要なアイテム数を考えれば、クローゼットや衣装棚に
どのくらいそろっていれば充分か、計算できます。

極端に言えば、それ以上、持っていてもどうせ着ません。
手放しても困らないのです。

皆さんもいったいどれくらいの数のアイテムを持っているのか、
一度数えてみてはどうでしょう。

そこにある物、本当に必要ですか?

イメコンで「断・捨・離」【2】

前回、紹介した「母の遺品の断・捨・離」依頼ですが、
どんな感じで進めたのか、簡単にご紹介します。


予定時間:2時間。

1 まずは衣類の整理から開始

「冬」「ロマンス・ファッショナブル」の依頼主にあわせて
うまく使えそうなアイテムと、そうでないものを分別します。

一通り目を通すと、どうやらお母さまは「ナチュラル」タイプ
似合うアイテムを数多くお買いになっていたようでした。

色も「冬」色のものは少なく、残念ですが依頼主の娘さんが
メインで使っていけそうなものは、あまり見つかりませんでした。

それでも、アレンジ用やコーディネートのサブアイテムとして
使うなら大丈夫、と言えそうなものは、大きな段ボール箱に
一杯以上あったのが、まだ救いでした。

2 アイテムの整理の次は、その使い方についてのレクチャ

近日、お出かけの予定があったそうなので、まずはそれに向けて、
そこにあるものからコーディネートをしてみました。

  • トップスは、明るいグレーのノースリーブセーターで
    大きな濃いグレーのお花模様があるもの。
  • スカートは、膝下丈でドレープ感のある黒のキレイ系の
    レースの裾模様のもの。
  • 茶と臙脂(えんじ)の華やかなネックレス。
  • 4センチ幅くらいの黒のエナメルのベルト。

とても良くお似合いで、ステキでしたよ。

後日このよそおいをご主人にお見せしたところ、
「きれいだね」とお褒めの言葉もあったそうです。

他にもオシャレなダウンのロングコートや、ご本人が
大好きなブランドのバッグなどもありましたので、
そちらもセンスよく使うコーディネートをレクチャ。

アイテムの数に余裕があったので、今後も充実した
コーディネートを楽しむことができると思いますよ。

とはいえ、どうしても使いこなせそうにないアイテムもあります。
(それもけっこうな数で……)

それについては、リサイクルショップに持ち込んだり
処分したりということになりそうですが――

イメコンで「断・捨・離」【3】につづく

イメコンで「断・捨・離」

イメージコンサルティングの技って、人の似合う色とデザインを
診断するだけではなくて、他にもいろいろな場面で役立ちます。

たとえば、家のリフォームの相談車を買うのでその相談だったり……
とお客さまからの依頼も、実にさまざま。

先日も「断・捨・離」の依頼があり、お客さまの家へ出張しました。

【注】「断(だん)・捨(しゃ)・離(り)」
この場合、いらない物を捨てて家の整理をするお手伝いです。

それも今回の「断・捨・離」は少し特殊なご依頼でした。
それは「母親の遺品整理を指導してほしい」というもの。

亡くなられたお母さまは、とてもオシャレがお好きだったらしく、
たくさんの服やアクセサリーが娘さんに遺(のこ)されていたのです。

高価なバッグやコートなども多く、中にはタグが付いたままの
未使用品も数多くありました……。

「たくさんの」とか「数多く」とくり返していますが、実際、
その数は相当なものでした。お部屋が一杯になるくらいの量で、
なんとかしないと生活に支障がでそうでした。

娘さんである依頼主も、遺品を大切に使いたいとは思いましたが

とにかく量が多すぎる。

それに、色やデザインのことを考えると、なかなかうまく活かせません。
遺品ということで適当な判断で捨てる気にもなれずに、困っていた……
というわけです。

こういう情や思い出などがある物の整理は、当人だけでは、なかなか
できないもの。ですから、私のような第三者に手伝ってもらいたい、
という依頼があるのも共感できます。

当然ですが、遺品のなかに依頼主に似合わない物があったとしても、
問答無用で「捨てなさい」なんて言い方はしません。

人間には感情があるのですから、それを無視したり、踏みにじって、
淡々と捨ててしまうのが「断・捨・離」ではありません。

目の前の「物」と自分の「心」との整理を付けていくのが
「断・捨・離」
ですね。

この考え方はイメージコンサルティングそのものにも通じる話です。

自分のパーソナルカラー/デザインに合わないアイテムでも、
その使い方を教え、徐々に自分に合うアイテムをそろえていくことで、
物と心と両方の整理をつけていく。

いつも、コンサルティングでは、このことを心がけています。

今回の依頼も、依頼主に喜んでいただけただけでなく、
ご主人さまも喜ばれたそうです。

どんな内容でも、
仕事のひとつひとつに大きな意味があるなあ
と感じた香咲でした。